OTA手数料を削減する方法|公式サイトへの誘導で自社予約を増やす

宿の達人 編集部

じゃらん、楽天トラベル、一休。今の宿泊業でこれらを使わないという選択肢はありません。
問題は、便利さの対価として払っている手数料の額です。

規模によっては月に100万円を超え、年間では1,000万円単位になります。
利益で見れば、その多くがそのまま出ていっている状態です。

「お客様はみんな楽天やじゃらんで探すのだから、どうしようもない」
——本当にそうでしょうか。

OTAで探してもらい、予約は公式サイトでしてもらう

これができれば、OTAの集客力を使いながら、手数料は減らせます。

「公式サイトなんて作っても見てもらえない」とよく言われます。
これは半分正しく、半分間違いです。

宿を探すとき、人はまず「温泉 旅館 〇〇(地名)」のようなキーワードで検索します。
このような競合の多い言葉で公式サイトが上位に出ることは、確かにほとんどありません。

ですが、必ず上位に出るパターンがあります。宿の名前で検索されたときです。

そして、人が宿の名前で検索するのはどんなときでしょうか。
その宿に泊まる予定がある、あるいは泊まろうか迷っているときです。

つまり、OTAであなたの宿を見つけてから実際に来るまでの間に、
ほとんどのお客様は一度、公式サイトを見に来ています。

記事・サービス・問い合わせは1本の線でつながります

記事・サービス・問い合わせは1本の線でつながります

そこに「公式サイトからの予約がいちばんお得です」と書いてあったら

答えは簡単です。公式サイトから予約します。
すでにじゃらんや楽天で予約した後でも、一度キャンセルして取り直す人すらいます。

やることは、公式サイトに「ここがいちばんお得だ」と分かる形で置くこと。それだけです。

ただし、価格で差をつけられない場合があります

一部のOTAとの契約にはパリティ条項があります。
簡単に言えば「公式サイトでOTAより安い価格を出してはいけない」という取り決めです。

厳しいルールに思えますが、回避する方法はあります。

価格ではなく、特典で差をつけるのです。

価格を変えずに「公式が得だ」を作る特典の例です。

特典の例差のつけ方
ドリンク券をプレゼント公式サイト予約限定で付ける
客室のグレードアップ同じ価格で上位の部屋に
貸切風呂を無料2泊以上を条件にする

価格は同じでも、実質的にお得な状態を作れば誘導できます。
プランそのものを変えてしまえばよい、という考え方です。

重要なのは価格の数字ではなく、
せっかく見に来てくれたお客様に「公式が得だ」と気づいてもらうことです。

特典は、この3つの条件で選ぶ

何でもよいわけではありません。効く特典には共通点があります。
下の3条件を満たすかどうかで選んでください。

条件具体例外れる例
原価が低く、価値が伝わる館内利用券、ドリンク、館内着のグレードアップ原価の高い特典
その場で使い切れる滞在中に使えるもの次回使える割引券
一目で理解できる1行で言い切れる特典説明に3行かかる特典

「次回使える割引券」は判断の後押しになりにくく、
説明に3行かかる特典は読まれずに離脱します。

逆に避けたいのが、原価の高い特典を全日程に付けてしまうことです。
繁忙期は特典なしでも埋まります。特典を付けるのは、埋まりにくい日からでかまいません。

実例:自社予約比率30%→40%、年間100万円以上の削減

ある旅館の例です。

  • OTAへの依存率が約70%
  • 年間でおよそ1,000万円の手数料をOTAに支払っている状態

ここで取り組んだのが、公式サイトのトップページの見直しでした。
視覚的に「公式予約が得だ」と伝わる構成に作り替えます。

具体的には次の3点です。

  1. 「公式サイト予約限定特典あり」のバナーを目立つ位置に設置\
  2. 「館内利用券をプレゼント」など、特典の中身を具体的に明示\
  3. 「2泊以上で温泉貸切無料」といった、体験の魅力を打ち出す

結果、自社予約の比率が約30%から約40%へ上昇。
年間でおよそ100万円以上の手数料削減につながりました。

計算としては単純です。自社予約の比率が10ポイント上がるということは、
OTA経由の売上が全体の10%分だけ減るということです。
OTA比率が70%で手数料が年間1,000万円なら、そのうち7分の1がかからなくなります。

派手なことは何もしていません。
「公式から予約する理由」を、見える場所にはっきり書いただけです。

公式サイトのどこに、何を置くか

やることは3ヶ所だけです。置く場所と書く内容の対応は次のとおりです。

置く場所書く内容
ファーストビュー(開いて最初に見える場所)「公式が最もお得」と特典名を1行で
予約ボタンの近く特典の中身を箇条書きで3つまで
各プランの説明の冒頭OTAのプランとの違いを1行で

よくある失敗が、特典の説明ページを別に作って、そこにリンクを張るやり方です。
リンクを踏んでもらえる前提で作ると、ほぼ読まれません。
見に来た画面の中で完結させてください。

電話予約とLINEも、同じ「手数料ゼロの入口」です

公式サイトだけが直接予約の入口ではありません。
Googleマップからの電話、LINEからの問い合わせも、送客手数料はかかりません。

とくに年配のお客様は、サイトの予約フォームより電話を選ぶ方が多くいます。
公式サイトの上部に電話番号を大きく置くだけで拾える予約があります。
「予約フォームを整える」と「電話をかけやすくする」は、どちらも直接予約の施策です。

大事なのは「足止め」

公式サイトの役割は、新しいお客様を連れてくることではありません。
OTAで見つけて、確認しに来た人を、そこで受け止めることです。

一度見に来たお客様を足止めできれば、その予約分の手数料は発生しません。
この積み重ねが、OTAへの依存を確実に下げていきます。

効いているかを確認する方法

やりっぱなしにせず、月ごとに入口別の予約件数を並べてください。
下の表を自分の宿の数字で埋めるところから始めます。

入口件数金額
公式サイト( )( )
OTA(媒体別に行を分ける)( )( )
電話・Googleマップ( )( )

見るのは公式サイトの比率の1点です。
1ヶ月では動きません。3ヶ月並べて、右肩上がりになっているかで判断します。

よくある間違い

  • OTAの販売をやめてしまう。 見つけてもらう場所が消えるので、公式サイトも見られなくなります
  • 公式サイトの価格をOTAより安くする。 パリティ条項がある媒体では契約違反になりえます
  • 特典を作ったのに、トップページに書いていない。 これがいちばん多いパターンです
  • 1ヶ月で効果を判断する。 予約は数ヶ月先の宿泊分です。効果が見えるまで時間がかかります

まとめ

  • 宿の名前で検索されたとき、公式サイトは必ず上位に出る
  • OTAで見つけた人は、予約の前に一度公式サイトを見に来ている
  • パリティ条項があっても、特典で差をつければ誘導できる
  • 「公式が得だ」と一目で分かる形にするだけで、比率は動く
  • 効果は入口別の件数を3ヶ月並べて判断する