自社サイト予約を増やすメリット3つ|OTA依存から脱却する
宿泊予約をネットで行うのが当たり前になった今、
楽天トラベルやじゃらんといったOTAに依存している宿は少なくありません。
一方で、こんな声もよく聞きます。
- OTAの手数料が利益を圧迫している
- 公式サイトからの予約を増やしたいが、やり方が分からない
今回は原点に戻って、そもそも自社サイトからの予約は何がいいのかを整理します。
メリット1|手数料が残るので、利益率が上がる
いちばん分かりやすい利点です。
OTAの手数料は、媒体やプランによって幅がありますが、おおむね15%前後です。
以下は、手数料を15%として試算した数字です。 自分の宿の実際の料率に置き換えてお読みください。
手数料15%で計算すると、出ていく額はこうなります。右列は自分の宿の数字で埋めてください。
| 単位 | 15%での手数料 | 自分の宿では |
|---|---|---|
| 客単価2万円の1泊 | 3,000円 | ( ) |
| 月商600万円 | 90万円 | ( ) |
| 年間 | 1,000万円超 | ( ) |
「そんなに取られているのか」と驚かれる方が多いのですが、
落ち着いて計算すると、OTAへの支払いはとんでもない金額です。
逆から見ると、こうなります。
年間売上のうち10ポイント分を自社予約に移せば、その分の手数料がまるごと残ります。
年間売上が1億円の宿なら、自社予約を1,000万円分増やすことになり、
手数料は年間150万円減る計算です(1,000万円 × 15%)。
この150万円があれば、従業員の賞与に回すことも、館内の設備を更新することもできます。
なお、自社予約にも予約システムの利用料やカード決済の手数料はかかります。
ただし売上に比例して増える送客手数料とは性質が違い、
売れるほど1件あたりの負担は軽くなっていきます。
メリット2|予約が早く入る
これは見落とされがちですが、経営上とても大きな意味を持ちます。
なぜ自社サイトは早い予約が多いのか。
それは、公式サイトに来るお客様の多くが、
明確にその宿を目的に訪れているからです。
OTAのお客様は、エリアや予算で比較検討をしています。
一方、公式サイトに来るお客様は「あの宿に泊まりたい」という目的を持っています。
だから、希望の日程を確実に押さえるために早めに動きます。
宿側にとっての利点は明確です。
- 数ヶ月先までの予約状況が早く分かる → 計画的な仕入れと人員配置ができる
- 空室が見込まれる日が早く分かる → 早めに手を打てる
早く分かることの価値は、打てる手の数にあります。
2週間前に空きが見えても、できるのは値下げくらいです。
2ヶ月前に見えていれば、プランの見せ方を変える、特典を付ける、
販促の枠に出すかを判断する、といった選択肢が残ります。
数字の話だけでなく、精神的にも助かります。
「直前まで埋まるか分からない」という状態が減るからです。
なお、常連のお客様には、滞在中に「来年もぜひ」と声をかけて
その場で翌年の予約を取ってしまうのも効果的です。
メリット3|客単価が高い
公式サイトからの予約は、OTA経由より客単価が高くなる傾向があります。
私たちが支援したある宿では、公式サイトのお客様とOTAのお客様で、
平均2,000円以上の差がついていました。
理由は主に2つあります。
1. 上位の客室タイプを選ぶ傾向がある
OTAではエリアで宿を選び、価格で比較するため、どうしても価格重視になります。
一方、公式サイトに来るお客様は「この宿に泊まりたい」という気持ちで来ているので、
「せっかくならいい部屋に」と考える方が多いのです。
2. 連泊率が違う
同じ宿で、公式サイト予約の約25%が連泊、OTA経由では約17%でした。
一見小さな差ですが、年間の売上に換算すると大きな差になります。
支援した宿での、公式サイトとOTAの違いをまとめると次のとおりです。
| 項目 | 公式サイト | OTA |
|---|---|---|
| 来訪の動機 | 「この宿に泊まりたい」 | エリアと予算で比較検討 |
| 平均単価 | 高い(差は2,000円以上) | 低い |
| 連泊率 | 約25% | 約17% |
単価が高いということは、同じ稼働率でも売上が変わるということです。
稼働率を上げるのは客室の数に限りがありますが、単価には上限がありません。
自社予約を増やすために、最初にやること
3つのメリットが分かっても、比率は勝手には動きません。順番はこうです。
| ステップ | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 入口別の予約件数と金額を月ごとに並べる | 今の自社予約比率が言える |
| 2 | 公式サイトに「公式が得だ」と書く | 特典が一目で分かる |
| 3 | 価格ではなく特典で差をつける | 価格を変えずに実質お得 |
| 4 | 3ヶ月ごとに比率を見る | 比率が上がったか判断できる |
1|今の比率を出す
まず、入口別の予約件数と金額を月ごとに並べます。
公式サイト、媒体別のOTA、電話、Googleマップ。5〜6区分で十分です。
現在の自社予約比率が分からないまま施策を打っても、効いたかどうかが分かりません。
2|公式サイトに「公式が得だ」と書く
OTAで宿を見つけたお客様は、予約の前に一度、宿の名前で検索して公式サイトを見に来ます。
そこに、公式限定の特典が一目で分かる形で置いてあるか。
ここが最大の分かれ目です。
3|価格ではなく特典で差をつける
一部のOTAとの契約にはパリティ条項(公式サイトでOTAより安く出せない取り決め)があります。
価格を下げられない場合は、特典で差をつけます。 館内利用券、客室のグレードアップ、
連泊時の貸切風呂など、価格を変えずに「実質お得」を作る方法です。
4|3ヶ月ごとに比率を見る
予約は数ヶ月先の宿泊分です。1ヶ月では動きません。
3ヶ月並べて、公式サイトの比率が上がっているかで判断してください。
よくある3つの誤解
先に結論だけ並べます。詳しい理由はこの後に書きます。
| よくある誤解 | 実際は |
|---|---|
| 検索で上位に出ないから意味がない | 宿の名前で検索されたときは必ず上位に出る |
| 予約システムを入れれば増える | システムは受け皿。書かなければ動かない |
| 自社予約が増えると掲載順位が下がる | 在庫と料金を出し続ける限り掲載は消えない |
「公式サイトは検索で上位に出ないから意味がない」
「温泉 旅館 〇〇(地名)」のような競合の多い言葉では、確かに上位に出ません。
ですが、宿の名前で検索されたときは必ず上位に出ます。
そして、OTAで見つけた人は予約の前に宿の名前で検索します。狙うのはそこです。
「予約システムを入れれば自社予約は増える」
システムは受け皿にすぎません。「公式が得だ」と書かれていなければ、
見に来た人はOTAに戻って予約します。 入れるだけでは比率は動きません。
「自社予約が増えるとOTAの掲載順位が下がるのでは」
OTA経由の予約が減れば順位に影響することはありますが、
在庫と料金を出し続けている限り、掲載がなくなるわけではありません。
極端に振らず、少しずつ比率を動かすのが安全です。
OTAをやめる必要はありません
OTAは大切な集客の経路です。やめるという話ではありません。
大事なのはバランスを見直すことです。
公式サイトの予約比率を少しずつ高めていく。
「利益を残す」という観点では、これが最も効きます。
まとめ
- 手数料が残る … 比率を10ポイント上げるだけで、年間の利益が大きく変わる
- 予約が早い … 仕入れと人員配置が計画でき、打てる手が増える
- 客単価が高い … 上位客室と連泊の比率が違う
- 増やすには、今の比率を出す → 公式が得だと書く → 特典で差をつける → 3ヶ月ごとに見る