じゃらんの手数料は何%か|宿が払う実額を精算書から分解する

宿の達人 編集部

「じゃらんの手数料は高い」とよく言われます。
ですが、自分の宿が実際に何%払っているかを即答できる方は、多くありません。

公表されている料率と、実際に引かれている額は一致しないからです。
この記事では、精算書から実効の手数料率を出す方法と、
下げるために現実的にできることを整理します。

そもそも、何に対してかかっているのか

じゃらん経由の予約に対して発生するのは送客手数料です。
押さえておくべきなのは次の3点です。

1. かかるのは「宿泊料金」に対して
入湯税や、現地で受け取る追加飲食のように宿泊料金に含まれない項目には原則かかりません。
逆に言えば、宿泊料金に含めて売っているものには全部かかっています。
「夕食時の飲み放題をプランに組み込むか、現地オプションにするか」で負担額は変わります。

2. キャンセルされた分にもかかることがある
キャンセル料を受け取った場合、その一部が手数料の対象になる契約があります。
「予約は入ったがキャンセルされたので売上ゼロ」ではない、ということです。

3. セール・特集への参加で率が変わることがある
割引セールや特集枠に出ると、通常より高い料率が適用される場合があります。
この上乗せ分は、参加を決めた月だけでなく、その企画の宿泊対象期間ずっと効きます。
「今月だけ試しに」と参加したつもりが、半年先の宿泊分にまで効いていることがあります。

実効手数料率は、精算書からこう出します

実効手数料率は、精算書からこう出します

実効の手数料率を、自分で計算する

やることは単純です。直近12ヶ月の精算書から、次の式で出します。

実効手数料率 = 年間に出ていった額の合計 ÷ 年間の該当売上(宿泊料金)

分子に入れるのは、手数料の行だけではありません。次を全部足します。

精算書で拾う項目年額
送客手数料
セール・特集参加分の上乗せ料率
広告・掲載枠の費用
ポイント原資の負担分
合計(=分子)

ここで多くの宿が驚くのが、公表されている料率より数字が大きくなることです。
理由は上の表のとおりで、手数料の行だけを見ていると、
広告費とポイント負担が視界から抜け落ちるためです。

つまり、「手数料率」だけを見ていると実際の負担が見えません。
見るべきなのは「じゃらん経由の売上に対して、最終的に何%が出ていったか」です。

精算書を開くときの手順

  1. 直近12ヶ月分をそろえる。 3ヶ月では、セールや広告の月が入るかどうかで結論が変わります\
  2. 月ごとに、上の表の5行を書き写す。 表計算ソフト1枚で足ります\
  3. 月別の実効率を出して、並べる。 数字が跳ねている月が必ずあります\
  4. 跳ねた月に何をしたかを思い出す。 ほぼ確実に、セール参加か広告出稿の月です

この4ステップで、「販促にいくら払ったのか」が初めて年額で見えます。

そこに、代行会社への手数料が乗る

さらに、運用を外部に委託している場合は、その費用が乗ります。

私たちが最初にお手伝いしたある旅館では、
OTAへの手数料が月およそ75万円、代行会社への手数料が月25万円。合わせて月100万円でした。
年間にすると1,200万円です。それだけ払っていながら、
提案も報告も届かず、集客のやり方は何年も前のままでした。

この2つを足して年額に直す。 これが最初にやるべきことです。
足した数字を見て初めて、「高いかどうか」を判断できます。

下げるために、現実的にできること

手数料率そのものを交渉で下げるのは簡単ではありません。
実際に効くのは、次の3つです。

1. セール・広告の費用対効果を、参加前に判定する

OTAからは毎月のように販促の案内が届きます。判断のポイントは3つあります。

  • その枠の掲載期間と、宿泊の対象期間は別物です。 「〇月上旬枠」と書かれていても、

実際に売るのは1〜3ヶ月先の宿泊分ということがあります。ここを読み違えると結論が正反対になります

  • その期間の空室が、そもそも埋まる余地があるのかを先に見ます。

すでに埋まる日の販促に費用を払っても、増分にはなりません

  • 費用を「予約額いくらぶんの販促か」に換算する。 掲載費が客単価の何泊分かに直すと、

「その期間に何泊上積みできれば元が取れるか」が一目で分かります

なお、対象期間の残室数が全日同じ数字で張り付いている場合は、
広告よりも先に在庫設定を疑ってください。売る部屋が出ていない状態で広告を打っても増えません。

2. 手数料のかからない予約の比率を上げる

送客手数料は、OTA経由の予約にしかかかりません。
Googleマップ、公式サイト、LINE、電話から入った予約には発生しません。

OTAをやめる必要はありません。OTA以外の入口を持つことで、
同じ売上でも手元に残る額が変わります。ここが本質的な打ち手です。
ただし、これは半年から1年かけて育てるものです。今日決めて来月効く話ではありません。

3. 代行に払っている費用の中身を確認する

代行会社に払っている分は、交渉と乗り換えで動かせます。
確認すべきは金額ではなく中身です。次の5点を聞くだけで、釣り合っているかは判断できます。

  • 月に何回、管理画面に入っているか
  • 料金と在庫を、どういう考え方で決めているか
  • 直近1年で、新しいプランをいくつ作ったか
  • 販売期間の延長を、切れる前にやっているか
  • OTAから届く販促の案内について、買うべきか見送るべきかを判断してくれるか

「月に一度、料金を入れるだけ」に売上の5%を払っているのなら、見直す価値があります。

年に1回、必ず出す数字

この記事でやることは、突き詰めると1行です。

じゃらん経由の年間売上のうち、最終的に何%が外部に出ていったか。

この1行を毎年同じ形で出しておくと、料率の改定や新しい販促の案内が来たときに、
「乗るか見送るか」を感覚ではなく数字で決められるようになります。

よくある3つの誤解

「料率は宿ごとに交渉で決まっているはずだ」
交渉の余地がまったくないわけではありませんが、動くのは料率よりも
販促枠の条件や掲載の扱いであることが多いところです。
料率だけを的にすると、話が進まないまま時間を使います。

「手数料が高いから、その媒体を減らせばいい」
減らせば手数料は減りますが、その媒体が連れてきていた予約も一緒に消えます。
判断は率ではなく、「その媒体が無かったとき、その予約は他の入口で入ったか」で行います。

「セールに出れば、結局は得をする」
出た月の売上は伸びます。問題は、上乗せ料率が宿泊対象期間ずっと効くことと、
放っておいても埋まった日まで割引で売ってしまうことです。
セールに出すなら、埋まりにくい日だけに絞って出すのが原則です。

まとめ

  • 公表料率ではなく、精算書から実効の手数料率を出す
  • 分子には、手数料だけでなく広告費とポイント負担も足す
  • OTAへの手数料と代行への手数料を足して年額に直す
  • 料率の交渉より、販促費の判定・直接予約の比率・代行費の見直しが効く