一休の手数料はどう決まるのか|宿とレストランの仕組みを分解
「一休の手数料は高いのか安いのか」と聞かれることがあります。
ただ、一休には宿泊(一休.com)と飲食(一休.comレストラン)という性格の違う2つの事業があり、
手数料のかかり方がそもそも別物です。さらに宿泊側にはYahoo!トラベルとの関係という論点もあります。
ここを混ぜたまま「一休の手数料率は何%か」を調べても、自館の負担額には辿りつきません。
この記事では、仕組みを分けたうえで、自館の実効手数料率を精算書から出す手順まで整理します。
一休.com(宿泊)の手数料は何に対してかかるのか
宿泊側は、他の国内OTAと同じく成果報酬型の送客手数料です。
予約が成立し、宿泊が実際に行われた分に対して、宿泊料金の一定割合がかかります。
押さえておくべきなのは、率そのものより次の4点です。
下の表は、その4点と、自館で確認する場所を並べたものです。
| 押さえる点 | 要点 | どこで確認するか |
|---|---|---|
| 対象は「宿泊料金」 | プラン料金に含めて売った分は全部対象 | 自館のプラン構成 |
| キャンセル分の扱い | 一部が手数料の対象になる契約がある | 契約書のキャンセル料条項 |
| セール・特集への参加 | 通常と異なる条件が適用される場合がある | 参加した企画の宿泊対象期間 |
| ポイント還元の負担 | 手数料とは別の名目で載る | 精算書の明細 |
1. 対象は「宿泊料金」
入湯税や、現地で追加で受け取る飲食・売店の売上など、
宿泊料金に含まれない項目には原則かかりません。
裏を返せば、プラン料金に含めて売っているものには全部かかっています。
夕食・朝食をプランに込みで売っている宿ほど、手数料の対象金額は大きくなります。
2. キャンセル分の扱いは契約による
キャンセル料を受け取った場合に、その一部が手数料の対象になる契約があります。
「キャンセルされたから売上ゼロ、手数料もゼロ」とは限りません。
自館の契約書のキャンセル料の条項を一度読んでください。
3. タイムセール・特集への参加で条件が変わることがある
一休は季節ごとのセールやポイント還元企画が多い媒体です。
参加すると通常と異なる条件が適用される場合があり、
その影響は参加を決めた月ではなく、その企画の宿泊対象期間に効きます。
4. ポイント還元の負担は手数料とは別枠
一休ポイントの還元原資を宿側が持つ企画では、
その負担分は「手数料」ではなく別の名目で精算書に載ります。
手数料率だけを見ていると、この分が視界から漏れます。

実効手数料率の出し方は、媒体が変わっても同じです
一休.comレストランは、宿泊とまったく別の課金体系
ここが最も誤解されるところです。
宿泊側が「宿泊料金に対する率」であるのに対し、
レストラン予約は一般に「予約人数に応じた従量課金」が基本と言われます。
つまり、客単価が高くても低くても、1名あたりの費用は同じという考え方です。
下の表は、宿泊側とレストラン側の課金の考え方の違いです。
| 比べる観点 | 一休.com(宿泊) | 一休.comレストラン |
|---|---|---|
| 課金の考え方 | 宿泊料金に対する成果報酬型 | 予約人数に応じた従量課金が基本 |
| 単価が上がると | 費用も比例して増える | 1名あたりの費用は変わらない |
| 請求 | 宿泊の精算に含まれる | 別の請求として届く |
コースの内容や単価によっては成果報酬型の条件が用意されることもあるため、
この表はあくまで基本形で、どちらの形で契約しているかは施設ごとに確認が要ります。
宿にとって実務上の意味は次のとおりです。
- 館内レストランをレストラン側にも出している場合、宿泊の精算とは別に費用が発生します
- 客単価を上げても1名あたりの費用は変わらないため、
単価の高い店ほど費用の比率としては軽く、単価の低い店ほど重く出ます
- ランチのような低単価帯を大量に流すと、比率としての負担は大きくなります
「一休の手数料」と社内で言うとき、宿泊の話なのかレストランの話なのかを必ず分けてください。
経理上も別の請求として届きます。
成果報酬型と定額型、どちらが自館に向くか
成果報酬型は、売れなければ費用も出ないので分かりやすい形です。
一方、人数課金・定額型は売れるほど費用の比率が下がるという性質を持ちます。
判断は「率が低いほう」ではなく、自館の年間の実額でどちらが小さいかで行います。
過去12ヶ月の予約件数・人数・売上が分かれば、両方の形で試算して比較できます。
契約更新のタイミングでしか変えられないことが多いので、更新月を先に確認しておいてください。
消費税はどう扱われるのか
送客手数料は、宿から見れば課税仕入れです。仕入税額控除の対象になります。
実務で確認すべきなのは次の2点です。
- 請求書・精算書の税区分が、税込表示なのか税抜表示なのか
(税抜表示の媒体と税込表示の媒体を並べて比べると、比率が1割ずれて見えます)
- インボイス(適格請求書)の登録番号が精算書に記載されているか
会計処理は「支払手数料」または「販売手数料」として計上するのが一般的ですが、
科目の付け方は顧問税理士の方針に合わせてください。
媒体ごとに科目を分けておくと、後から媒体別の実効率を出すのが一気に楽になります。
Yahoo!トラベルとの関係を理解しておく
見落とされがちですが重要な点です。
一休とYahoo!トラベルは同一のバックエンドで動いています。
施設ID・プランコード・管理画面が共通で、一休側で作ったプランがYahoo!トラベル側にも出ます。
ここから、実務上こういうことが起きます。
- 一休.comには掲載されておらず、Yahoo!トラベルにだけ掲載されている宿がある
(価格帯や施設タイプによって一休.com側の掲載条件が異なるため)
- そのため「一休には載っていないから関係ない」と思っていた宿に、
実際にはYahoo!トラベル経由の予約が入っていることがあります
- 販売状況を確認するときは、一休.comだけでなく
Yahoo!トラベルの施設ページも見ないと実態が分かりません
自館がどちらに載っているかは、管理画面に入らなくても、
Yahoo!トラベル側の施設ページが存在するかどうかで確認できます。
料金の整合(レートパリティ)が効いてくる媒体
一休は、他媒体や公式サイトとの料金の整合を厳しく見る媒体として知られています。
他より高い状態が続くと、掲載順位や露出に影響が出ることがあります。
これは手数料そのものの話ではありませんが、実質的な負担に直結します。
露出が落ちれば同じ手数料率でも取れる予約が減り、
取り返そうとして値下げすれば、宿の手取りはさらに下がるからです。
「手数料が高いから一休だけ少し高く売る」は、この媒体では逆効果になりやすいと考えてください。
「一休の手数料率は高いのか」への答え方
結論から言うと、一休だけを取り出して高い・安いを判断しても意味がありません。
一休は、他の国内OTAと比べて上位価格帯に強い媒体です。
同じ率でも、単価が高ければ1予約あたりの手数料額は大きくなります。
そのため「額が大きい=率が高い」と誤解されやすい媒体でもあります。
見るべきなのは、次の2つを並べた比較です。
- 1予約あたりの手数料額ではなく、売上に対する比率
- 比率だけでなく、その媒体が無かった場合にその予約が他で入ったか
一休経由のお客様は、価格ではなく体験や設えで選ぶ層が中心です。
その層が他の媒体でも同じように取れているのかを、
媒体別の平均単価と予約件数で確認してから判断してください。
比率が高くても、単価が他媒体より明確に高いなら、手取り額では有利ということが起こります。
自館の実効手数料率を出す
ここまでの要素を全部ひっくるめて、実額で見るのが唯一の答え合わせです。
やることは単純で、直近12ヶ月の精算書を足し上げるだけです。
実効手数料率 = 年間の手数料等の合計 ÷ 年間の一休・Yahoo!トラベル経由の宿泊売上
分子に入れるものを漏らさないでください。
下の表の金額欄を、直近12ヶ月の精算書から埋めていく形にすると漏れません。
| 分子に入れる項目 | 年間の合計額 |
|---|---|
| 送客手数料 | ( ) |
| ポイント還元の宿側負担分 | ( ) |
| セール・特集参加にともなう追加の費用 | ( ) |
| (レストランに出している場合)レストラン側の費用 | 別枠で集計する |
この数字は、公表されている料率より大きくなることがほとんどです。
理由は、表の2行目・3行目が「手数料」の名目では出てこないからです。
出てきた数字が高いと感じたなら、次に見るのは料率の交渉ではありません。
セール参加の判断基準と、手数料のかからない経路(公式サイト・Googleマップ・LINE・電話)の比率です。
同じ売上でも、入口の構成が変われば手元に残る額は変わります。
まとめ
- 一休は宿泊とレストランで課金体系が別物。社内で話すときは必ず分ける
- 宿泊は宿泊料金に対する成果報酬型。ポイント負担とセール参加分は手数料の外に出る
- レストランは人数に応じた従量課金が基本と言われ、低単価帯ほど比率が重い
- 一休とYahoo!トラベルは同一のバックエンド。一休.com非掲載でYahoo!トラベルのみという宿がある
- 一休は料金の整合を厳しく見る媒体。一休だけ高く売るのは逆効果になりやすい
- 料率は契約により異なります。必ず自館の精算書で実効手数料率を計算してください