旅館のインフルエンサー集客|費用・選び方・依頼の進め方

宿の達人 編集部

SNSがいいのか、Googleマップを始めるべきか、Web広告はどうなのか。
試行錯誤はされていると思います。結果は出ていますか。

「効果が出るまで半年はかかります」と言われ、長期戦を覚悟していたとしても、
結果待ちの時間が長いのは、経営としてしんどいものです。

この記事は、即効性があって、しかも自分の手を動かさずに任せられる打ち手の話です。

答えは「インフルエンサーに紹介してもらう」

旅行系のインフルエンサーは、フォロワーにとって「旅行に詳しい友達」のような存在です。

旅行先を決めるとき、公式の宣伝文よりも、
実際に行った人の投稿を見てから決めるという方は珍しくありません。
とくにSNSを日常的に使う層ほど、その傾向は強く出ます。

第三者の意見は、それだけ強く効きます。
知っている人がすすめていると、詳細が分からなくても手に取ってしまう。
元々知っている人のおすすめは、無条件に信頼されやすいのです。

言い換えると、購買の意思決定で最も時間のかかる「信頼を得る」フェーズを丸ごと飛ばせる。
これがインフルエンサー活用の本質です。

なぜ、自分でやると時間がかかるのか

ここは仕組みを知っておくと納得できます。

InstagramやFacebookに宿の投稿をしても、すべての人に見られるわけではありません。
SNSの投稿もWeb広告も、裏側では「これを誰に見せるべきか」をシステムが判断しています。

  • この人は温泉が好きそうだから見せよう
  • この人は旅館に興味があるから見せよう
  • この人は料理の写真によく反応するから見せよう

こうした判断を自動で行い、最適なユーザーを探しているわけです。

つまり、アカウントを開設してしばらくは、「誰に表示すればいいか」がまだ定まっていません。
だから最初は反応がなく、「これって効果があるのか」と思ってしまう。

SNSやWeb集客の立ち上がりが遅いのは、この判断に時間がかかるからです。

一方、インフルエンサーのアカウントには、すでに旅行に興味のある人が集まっています。
最適なユーザーを探す工程を、まるごとスキップできる。 ここが速い理由です。

さらに、彼らは動画づくりのプロです。
苦手な動画編集を自分でやる必要がない。手間が少ないのも大きな利点です。

実例|1投稿10万円で、1ヶ月に約15組

ご支援したある旅館の事例です。
インフルエンサーマーケティングに興味がある、というご相談から始まりました。

この旅館は60代以上の常連のお客様が中心で、これから若い層も取り込みたいという状況。
狙う層とインフルエンサーの読者層が合っていたため、相性は良いと判断しました。

進め方

1. Instagramで旅行系インフルエンサーを数人ピックアップする
今回は、若いカップル向けに情報発信をしている、フォロワー3万人以上のアカウントを中心に選定しました。
フォロワー数より、誰に向けて発信しているかが先です。

2. 選んだ全員にDMを送り、Web打ち合わせを実施する
価格帯や進め方を確認します。
インフルエンサー側も多くの案件を扱っているので、基本的には先方の提案に乗る形で問題ありません。

ただし、この段階で専門知識がないと適正価格が分からず、足元を見られるリスクがあります。
この旅館の場合は私たちが間に入りましたが、ご自身で交渉する場合は注意してください。

3. 動画の内容は、譲れない一点だけ指定する
この旅館は料理が特に評判だったため、
「こだわりの会席料理の紹介を入れる」ということ以外は、構成をある程度お任せしました。

細かく指定するほど、その人のいつもの見え方から外れ、フォロワーに刺さらなくなります。
指定は1つ。あとは任せる。 これが結果的にうまくいきます。

4. 素材を渡して、報酬を支払う
宿の魅力が伝わる動画素材や、特徴的なサービスの情報を提供して、報酬を支払うだけで完了です。

費用と結果

価格はフォロワー数や知名度によって大きく変動しますが、
今回の事例では1回の投稿につき10万円で引き受けてもらいました。

結果、投稿から1ヶ月で約15組のお客様が「インスタを見た」と予約してくださいました。

費用対効果を考えると通常の広告費と比較しても遜色がなく、
何より、すぐに結果が出るのが強みです。

「即効性がある」の中身を、正しく理解しておく

この施策は速いのですが、何が速いのかを取り違えると期待外れになります。

速いのは、認知が一気に広がる瞬間です。
投稿された直後に見られ、反応があり、そこから予約が入ります。
一方で、繰り返し効き続けるわけではありません。

つまり、インフルエンサー活用は点の施策です。
点を打つのは速いが、点を打ち続けなければ線にはなりません。

ですので、次のように組み合わせるのが現実的です。

時間軸ごとに、何をやるかを整理すると次のようになります。

時間軸やること狙い
短期インフルエンサー投稿認知と予約をまず取りに行く
中期投稿を素材として使い回す公式サイト・OTA・Googleマップの見え方を改善
長期口コミとGoogleマップを積み上げる費用のかからない入口を太くする

短期の施策で稼いだ時間を、長期の施策の立ち上がりに充てる。 この考え方が要点です。
「インフルエンサーだけやればいい」でも「地道にやるしかない」でもありません。

自分でやるか、間に人を入れるか

進め方自体はシンプルなので、ご自身でやることも十分可能です。
判断の分かれ目は、次の3点です。

  • 適正価格が分かるか……ここが一番のリスクです。フォロワー数だけでは価格は決まりません
  • 交渉に時間を割けるか……候補の選定・DM・打ち合わせ・素材準備で、それなりの工数がかかります
  • 断る判断ができるか……提示された条件が合わないとき、途中で降りられるかどうか

ご自身でやる場合は、最初の1本を小さく試すのがおすすめです。
フォロワー数の大きい人にいきなり大きな金額を払うのではなく、
狙う層と合っている中規模のアカウントで一度回してみる。
そこで、問い合わせがどう増えるか、受け入れに何が足りないかが分かります。

依頼する前に決めておくこと

丸投げできる施策ですが、決めずに始めると測れなくなります。 次の5つは先に決めてください。

先に決めておく5項目と、その中身です。

決めること中身
狙う層年代・人数構成・エリア。決まらないと候補も選べない
見たい成果予約数か認知か。予約なら専用の予約導線を用意
予算の上限1本あたりと、年間の総額
譲れない一点料理/部屋/貸切風呂。指定は1つに絞る
受け入れ体制撮影日の客室・食事・スタッフ。繁忙日に入れない

予約数を見たい場合の専用導線とは、クーポンコードや専用ページのことです。

候補を選ぶときのチェックリスト

候補アカウントを開いたときに、どこを見るかの一覧です。

見る項目どこを見るか合わないサイン
反応数いいね・保存・コメントフォロワー数だけが多い
過去の投稿旅館・温泉が含まれるかグルメ専門で文脈が合わない
フォロワーの層コメント欄の書き込み狙う層と一致していない
PR案件の反応通常投稿との差PR回で反応が落ちる
直近の紹介先同一エリアの競合施設直前に競合を紹介済み
PR表記表記に応じてくれるか明示を渋る

なお、広告であることを明示しない投稿はステルスマーケティングとして問題になります。
PR表記は必ずしてもらってください。

実施後にやること

  • 予約時に「どこで知りましたか」を必ず聞く(フロント・電話・予約フォームすべて)
  • 投稿から1ヶ月・3ヶ月の時点で、問い合わせと予約の件数を数える(御施設の実数)
  • 投稿の二次利用の可否を確認しておく。使ってよければ、公式サイトやOTAの写真として長く効きます
  • 反応が良かった人には、季節を変えて再依頼する。1回で終わらせるのはもったいない

まとめ

  • SNSやWeb広告の立ち上がりが遅いのは、誰に見せるかの判断に時間がかかるから
  • インフルエンサー活用は、その工程と「信頼を得る」工程を同時に飛ばせる
  • 選ぶ基準はフォロワー数より読者層と反応率。指定は1つに絞り、あとは任せる
  • 測る導線を先に用意する。 決めずに始めると、効果があったかどうかが分からなくなる